松本市・塩尻市で腰痛・肩こり・膝の痛みに対応する整体院アストケアの理学療法士による施術イメージ

「ただの腰痛だと思っていたら…」高齢者の腰椎圧迫骨折で考えさせられた話

2026年6月4日


「ただの腰痛だと思っていたら…」高齢者の腰椎圧迫骨折で考えさせられた話





ある日、お嫁さんからお電話をいただきました。



「数日前から腰が痛いみたいなので、一度みてもらえませんか?」



来院されたのは、80代の女性。



お嫁さんが付き添いで来られていましたが、院内には入らず、入口付近で見送る形でした。



その時のお二人のやり取りや距離感から、なんとなく関係性も伝わってきました。



ご本人は、お嫁さんには少し気の強い話し方。

ですが、院内へ入ると急に表情が柔らかくなり、「数日前から腰が痛くてね」と穏やかに話し始めました。



年齢相応の円背姿勢もあり、まずは基本的な確認から始めました。



・骨密度について言われたことはあるか

・転倒や尻もちをついたことはないか

・いつから痛いのか



ただ、最初はなかなか本音が出てきませんでした。



「そんなことはない」

「特に何もしていない」



歩くこともできていましたし、日常生活もある程度こなせている状態。



ですが、痛みの出方には少し特徴がありました。



筋肉疲労というより、“骨に響くような痛み方”に近い印象がありました。



何度か質問を重ねる中で、ようやく少しだけ本音が出てきました。



「尻もちはついてないけど、車の座席に勢いよく座った後から痛くなった。」



ここで、どこか少し違和感が残りました。








高齢者の場合、軽い衝撃でも腰椎圧迫骨折が起きることがあります。



特に骨密度が低下している方では、転倒のような大きな外傷がなくても起こるケースがあります。



ただ、ご本人はそれを認めたくない様子でした。



そして同時に、お嫁さんへ弱い姿を見せたくないという気持ちも感じました。



お電話で、お嫁さんが「病院を勧めても嫌がってしまって…」と話されていた理由も、なんとなく理解できました。



もちろん、この時点で骨折を断定できるわけではありません。

ですが、総合的にみると、軽度の腰椎圧迫骨折の可能性は十分考えられる状態でした。



そこで私は、一度ご本人の意思を尊重することにしました。



ただし、施術内容はかなり慎重に進めました。



腰部や脊柱へ積極的な刺激は加えず、他の部位を軽く整えながら、腰の状態確認を続ける程度に留めました。



その流れの中で、雑談のような形で少しずつ話をしました。



「年齢によっては、いつの間にか骨折することもあるんですよ。」

「軽い衝撃でも起きるケースがあります。」



ですが、その時もご本人はどこか他人事のような反応でした。



最終的には、「少し楽になりました。次はいつ来ればいいですか?」という流れになり、3日後の予約となりました。









腰椎圧迫骨折とは?




腰椎圧迫骨折とは、背骨の骨が潰れるように変形してしまう骨折です。



高齢者では、骨粗鬆症によって骨が弱くなっていることが多く、

転倒だけでなく、軽い尻もちや座る衝撃などでも起こることがあります。



また、軽度の場合は歩けてしまうケースもあり、

「ただの腰痛だと思っていた」という形で見過ごされることも少なくありません。



特に、



・急に腰が痛くなった

・動き始めに強く痛む

・骨に響くような痛みがある

・高齢で骨密度低下を指摘されている



こういった場合は注意が必要になります。





再来院時も、症状は大きく変わっていませんでした。



そして、ご本人の考えも変わっていませんでした。



再び慎重に対応しながら、受診について少しずつお話を続けました。



ですが、その場では「病院へ行こう」という流れにはなりませんでした。



数日後、お嫁さんから再びお電話をいただきました。



「先生の話を聞いて、本人が“病院へ行ってみようかな”と言い出したんです。」



受診の結果は、軽度の腰椎圧迫骨折。



お嫁さんからは、



「昔から病院嫌いで、強く言うと怒ってしまうんです。」



というお話もありました。



今回のケースで強く感じたのは、“正しいことを伝えれば人が動くわけではない”ということでした。



年齢、性格、家族関係、プライド、不安。



そういったものが重なることで、病院受診そのものが難しくなるケースもあります。



正直に言えば、今回のケースも、私が何か特別なことをできたのかは今でもわかりません。



もしかしたら、何も言わなくてもご本人は受診されていたかもしれません。



ただ、ご本人も困っていた。

ご家族も困っていた。



だからこそ、その時できる範囲で、できるだけ慎重に関わることを大切にしました。



今回の経験は、私自身にとっても非常に考えさせられるケースとなりました。






関連ページ




■ 腰痛についてはこちら


腰痛ページを見る